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-二輪診断機完備店-                     福岡県遠賀郡より、カブからBMWまで、旧車、新型問わず二輪・販売整備店を営むsigloのブログです。                             ・HONDA      ・KAWASAKI                       ・YAMAHA     ・SUZUKI                       ・BMW        ・DUCATI      ・TRIUMPH                                             

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siglo
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性別:
男性
誕生日:
1978/12/15
職業:
メカニック
趣味:
葉巻・ナイフ・ファッション
自己紹介:
★HASTA LA VICTORIA SIEMPLE ★

福岡県遠賀郡で二輪・四輪販売整備店と整体療術院を営むsigloのブログです。

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周知のとおり、ネジは自動車のみならず生活における様々な場所で使われています。
巻貝を元に発明され、ギリシア時代には既に機械として使用され、現在確認できる最古の物はアルキメデスの揚水ポンプであるといわれています。
これはかなり遅れ日本にも17世紀半ばに伝わり、佐渡金山の排水用に使用され「竜樋」と呼ばれていました。

1543年に種子島に伝わったとされる火縄銃、これに使われていた銃底をふさぐための尾栓が日本人が見た最初の「ネジ」とされています。
種子島に伝わったものが最初かどうか諸説あり、1543年以前にも東南アジアで広まっていた火器を倭寇勢力が日本各地に持ち込んでいたという説もありますが、ここでは詳しいことは省きます。
ちなみに1860年に幕府がオランダからネジ切り旋盤を輸入するまでは、「おねじ」はすべてヤスリで手作りでした。 

現代のボルト製造法は通常丸棒を加工するところから始まり、
冷間圧造という加工法を用い、ボルトの成形はボルトホーマーで作られていきます。
ちなみにステンレスは温間圧造です。
ネジ部の加工は一般的に転造という方法で行われます。
旋盤やネジ切り盤などの切削加工で作られたものは、加工中に材料の繊維の流れ(ファイバーフロー)が切れ、強度的に弱くなりますが、転造盤で作られたものは生産性が高く製品も均一で精度も高く、
切削加工に比べ強度も高いものとなります。 
転造盤の代表的ものは平ダイス式転造盤、プラネタリ式転造盤等があります。


大きな力をかけるために使われた最初のネジプレス機は、紀元前100年頃にオリーブの実を潰すために作られ、これで葡萄酒作り等にも盛んに使われていくようになります。
このネジプレスがグーテンベルクの印刷機(1450年頃)に利用され、新聞等の印刷に利用されました。
新聞のことを“The Press”と呼ぶのはその名残りです。

映画にもなったダヴィンチコードや天使と悪魔で話題のレオナルド・ダヴィンチが残したノートの中に、
タップ、ダイスの原理で描かれたスケッチが残っており、このことから材料の締結を目的とした金属製の最初のボルト、ナット等は1500年頃に作られたと考えられています。

色々な場所で作られていた「ネジ」はいつしかその種類が莫大な数となり、
これらを取りまとめる必要性が出てきました。
そこでイギリスのジョセフ・ウィットウォースが多数のメーカーにより作られていたネジを調査し、
ネジ山の形状、外径、ピッチ、組み合わせ等をウィットウォースネジと称し、1841年に発表され後にイギリス規格として正式に採用さ普及されるに至ります。
バイクではノートンやトライアンフ、BSAなどの古い英国車などで使用され、
現在ではほとんど使われませんが今でもレストア時に必要になることがある規格です。
この規格は日本では1965年に廃止されたが、現在でも建築分野などで使用されています。
旧英国インチには、BSF規格(細目)とBSW(並目)規格があり、BSW(ブリティッシュスタンダードウィットウォース)規格が先程のウイットウォースネジのことです。
ネジ山角度はBSW、BSF規格は55度、
ISO、DIN(ドイツ規格)、後述するUNC、UNF、そしてJIS、旧JISは60度となります。

我々が一般的に使っているメートルネジは、フランスが発祥で、1894年にドイツ・フランス・スイスの各代表がチューリッヒに集まり、SIネジとして定めら、これが世界で最初の国際的規格となります。

以前舶用エンジンの整備士をしていたことがありましたが、
三菱製の舶用ディーゼルエンジンは今でもウィットネジを使っており、整備性の悪さから造船現場では嫌われていました。
さらにこのネジのネジ頭の二面幅はメトリックだったので、余計にわかりづらかったのです。
要はウィットネジの呼び径、ピッチを採用した旧JISインチネジってことです。
日本では上記造船現場、建設現場でもしかり、インチネジの呼び名を二分(1/4)、四分(1/2)というふうに呼んでいます。

バイクの整備を行うにおいて前述のようなネジの歴史に関しての知識はまったく必要ないですが、ことネジの規格に関しては重要になってきます。
現在の日本で多く使われているネジはほとんどがISO(国際標準化機構)が主流であり、JIS(日本工業規格)もこれに準拠しています。
よって近年の国産バイクのみを扱うならこの現行のJIS規格だけでいいのですが、メグロ等のかなり古い旧車に乗る方は旧JISに基づいた規格を知識として頭に入れておかねばなりません。 
ISOに準拠する前のJIS規格を旧JISと呼び、これは1968年に廃止されました。
よってこれ以前に生産されたバイクや車はこの旧JISが使われているので、整備を行う上で注意が必要です。

次にBMWなどドイツ車に採用されているDIN(ドイツ工業規格)のネジ。
DIN規格のものは電器関連の仕事についてる方は普通に使っていると思います。
一般の人で馴染みあるところでは、自動車のオーディオやナビゲーションなどが入るダッシュボードの区画のDIN(横幅148mm、高さ50mm)がそうで、1DIN、2DINなどと呼称しています。
ネジの規格に関しては同じメトリックなので整備する上でほとんど気になることはありませんが、電装系の整備時は電線の規格が違うのでワイヤーストリッパーや圧着工具を使う際は同じDIN規格のものでないとキレイに施工することはできません。

ハーレーなどアメリカ製のバイクはユニファイ規格が使われ、UNC規格(ユニファイ並目ネジ)とUNF規格(ユニファイ細目ネジ)があります。
ほかにもUNEF(極細目)があるが、バイク、車では使用されていません。
基本寸法がインチなのでインチネジなどと呼ばれているが、同じインチでも英国インチと米国インチは先に記載したとおりネジ山角度が異なるので互換性はないです。
この規格は第一次世界大戦でアメリカ(インチネジ)・イギリス(ウィットネジ)・フランス(メートルネジ)の連合軍は軍事上ネジの互換性にて多いに悩んだ経験あり、後に第二次世界大戦勃発後にアメリカ・イギリス・カナダの三国が軍用品に用いるネジとして、オッタワでネジ協定を行い規格化したものです。

インチネジは基本的に1インチ(25,4mm)を基準とし、これを1/8単位で分けその分子を呼び名にしており、
1/4、5/16、3/8、7/16、1/2、5/8、7/8、1というふうになります。
なお、ピッチは1インチ当たりの山数で表示されます。 


まとめるとISOが制定されてから生産されたバイクや自動車は、
アメリカ製ならUNC、UNF。
日本製ならJISってことになります。
BMWのドイツはDIN、ドゥカティやモトグッチのイタリアはUNIですが、
これらは一般用メートルネジであれば日本で流通しているJISネジで普通に使用できます。
ただし、いずれも強度区分には注意しなければなりません。

ネジの規格に関しては最近はネット等で規格表が手に入りやすいこともあるのでここでは表の記載は省きますが、整備現場ではネジ外径を測るノギスはもとより、整備する車種によってメトリック用、インチ用、ウィット用のピッチゲージを用意しておくと間違いはないでしょう。

さて、ボルト、ナットの大半は鉄で出来ており、
そのまま使用すると錆の発生や強度に問題が生じますので、
強度や錆の防止のために熱処理やメッキ等の表面処理が必要となります。
同じ鉄製ボルトでもホームセンターあたりで訳のわからないものを購入して使ってしまうとすぐダメになるでしょう。
それじゃあ錆びにくいステンレスボルトを使用すればよいのでは?と、なりますが、
バイクに使用するにはステンレスは問題が多かったります。
凝着しやすく母材によっては電飾を引き起こし、しかも硬く伸びないので緩みやすい。
ステンレス製のネジによく使用されるSUS304は強度区分7程度しかありません。
つまり純正で8~12の強度区分のボルトが使用されているエンジンやブレーキ、足回りへの使用は厳禁ということです。
特にホームセンター等で売っているボルトは強度区分があいまいなものが多いです。
一応強度区分が8.8、10.9を有す、高強度ステンレスボルトも存在しますが、
バイクの性能に直接かかわる部分の使用は避け、普通に純正ボルトに交換するのが最良です。
また、耐熱、耐食性の高いチタンボルトや比重が鉄の1/3で軽くて強いアルミ合金ボルトなどというものもありますが、同じチタンボルトでも工業用などのコストの安いものは危険です。
これらは強度も弱く耐熱性も低いことがありますので購入時は注意して選ばなければなりません。
きちんとしたものを購入するとコストも純正の数倍~十数倍に跳ね上がります。
バイクの場合いたる所にハイテンションボルトを使用していますし、
アルミ合金製のエンジンやフロントフォークのアウターチューブなどの場合、ボルトと母材の相性も出てくるので適材適所ということですね。

先述してきた強度区分とは、
たとえばボルトに記してある数字が8.8だった場合、80キロまで切れずに8割の64キロまで元に戻る性能を持っているということです。
あるいは強度区分が12,9の場合は120キロまで切れず、9割の108キロ、あで元に戻る、
となります。
つまり小数点の左側の数字が最小引張荷重を表し、右側の数字が降伏荷重を表しています。
当然降伏荷重を超えれば元に戻りません。
JISでは以下の10種類の強度区分が定められています。
3.6  4.6  4.8  5.6  5.8  6.8  8.8  9.8  10.9  12.9

また、強度区分7や11という小数点がない表記の場合は最少引張荷重のみを表し、
降伏荷重は表わしません。
11の場合であれば110キロまで切れない、ということになります。
これは1999年4月1日で廃止となりました。


鉄製の場合、防錆・防食のための表面処理は、
一般的に亜鉛メッキを用い、バイクで使われている物も然りです。
亜鉛は鉄よりもイオン化傾向が大きく、空気中の酸素と反応し酸化被膜を作るので、
鉄に亜鉛メッキを施せば錆びにくくなります。
ただし亜鉛メッキそのままでは変色を起こしたり耐食性に劣るので、
後処理としてクロメート処理を行います。
クロメート処理は処理によってできた皮膜の組成により耐食性に違いがあり、
強度が高い順に、
・「緑色クロメート」
・「黒色クロメート(黒亜鉛)」
・「有色クロメート(クロメート)」
・「光沢クロメート(ユニクロ)」
となります。
この他にも、焼き戻し時に着色やテンパーカラーを用いて生成される「黒色酸化皮膜」もあり、
バイクや車に使用されるボルトにはよく使われています。


次にネジ部品の種類と強度について。
ネジ部品自体あまりにも数が膨大なので、自動車・バイクの整備時に比較的目にすることが多いものを中心に説明していきます。

まずは家庭でも家電品をはじめ、子供の玩具や家具など様々なものに使われる「小ネジ」。
フランス語でビス(VIS)といいますが、一般的にそちらのほうが通りが良いかと思います。
通常M8以下のものを指しますが、整備書などではM5やM6のものでも「ボルト」と記載されていることが多いです。
代表的なものは「すりわり(マイナス)付き皿小ネジ」、「十字穴(プラス)付きなべ小ネジ」がある。
これらを頭部形状で分類すると、「皿」、「なべ」、「トラス」、「丸皿」、「バインド」などで、
整備現場では車種や車体の場所により使用されているものが各々変わってきます。

プラス、マイナス以外にもドライバーの差込穴の形状に、
米国のカムカー社の登録商標であるトルクス(insid TORX)、いじり止め穴付きトルクス(inside TORX  screws with pin)、E型トルクス(outside TORX)の他、六角穴付き(inside Hexsgon)、ポジドライブ(POZIDRIV)、トリプルスクエア(XZN)などがあります。
このうちトルクス、いじり止め穴付きトルクス、E型トルクスはハーレーやBuell等の米国車やBMW等によく使われ、
稀に国産車などにも使用されるが、いずれも盗難防止目的やメーカーがユーザーに触ってほしくない部分などに使われています。
六角穴付きボルトはキャップスクリューとも呼ばれ、強度区分は8.8、10.9、12.9。
通常の六角ボルトに比べ2割増程のトルクをかけることができ、エンジンのシリンダヘッドボルトやアクスルボルト、キャリパーサポート等、トルクを強めにかけたい部分に使われます。
トリプルスクエアはバイクではほぼ見受けられませんが、輸入自動車ではシリンダヘッドカバーやドアヒンジ等、比較的よく使用されます。
また、ポジドライブもバイクではほとんど目にすることはありません。
日本国内も以前は普及率が低かったのですが、パソコン等の精密機器にも使われてることから最近はホームセンターや100円ショップでもトルクスドライバーが購入できるようになりました。

余談ですが、十字穴のビスをはじめて世界で発明した国は我が国日本。
当初すりわり付き(マイナス)ネジが主体であったが、マイナスではネジ頭とドライバー先端の位置決めが不便であったので、1906年に野口保が「十字形溝螺旋鋲(プラス)」を考案し、特許第11466号として特許となるに至ります。
しかし、世界ではプラスネジは現在でもフィリップス・スクリューと呼ばれています。
それは1934年、アメリカでH・F・フィリップスがプラスのネジとドライバーの特許をアメリカで取得したからです(米国特許第2046837号)。
ドライバーのサイズの番号に通常PH2やPH3と記載されていますが、「PH」はアメリカでの特許取得者”H・F・PHILIPS”の略です。
世界でプラスネジが普及しだしたのは1930年代に入ってからで、野口保が特許を取ってから20年以上後の事。
十字形溝螺旋鋲は当時の日本の国交では世界に普及させるに至らなかったのかもしれません。

その他、小ネジの分類に先端が尖った下穴だけでメネジを必要としない「タッピンネジ」や、棒両端にネジをもつ「植え込みボルト」などがあります。
タッピンネジは樹脂やプラスティック製でメネジを作れないスクーター等のボディカバー類や薄い鉄板などに使われ、
植え込みボルトはスタッドボルトとも呼ばれ、エンジンのシリンダヘッドやエキゾーストパイプのフランジボルトなどに使われます。
45度に面取りした平らな側を植え込み側、丸先側をナット側のネジとしています。

ボルトを母材に締結させる際に使用する「ナット」も多種種類があり、以下
「フランジ付きナット」、緩み防止のための「ナイロンナット」、「Uナット」、
溝付きで割りピンを差し込み緩み防止のために使う「キャッスルナット」、「スロッテットナット」、装飾用などのための「袋ナット」等があります。

次にこれらボルト、ナットとセットで使用する「座金」。
「平ワッシャー」や「スプリングワッシャー」のことですね。
平ワッシャーは陥没緩みを防ぎ受圧面積を大きくするために用いるものなので、高強度のボルトの使う場合、平ワッシャーの強度も適切なものを使用しなければなりません。 
なおスプリングワッシャーには、緩み止めの効果は大してなく振動体であるバイクなどではなおさらです。
平ワッシャーのみでOKです。


長くなったのでこの辺で、
ネジに関しては整備を行うにあたり他にも必要な知識がありますので、思い出したら書き足しておこうと思います。




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はじめまして。バイクのことではなく、マイクロテック社のソーコムエリートのダブルアクションのしくみについて、知っていれば教えていただきたいのですが・・・
前田 浩志 2009/12/11(Fri)11:53:30 編集
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